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湿度の高い季節が来る前に…

湿度の高い季節の修理

こんにちは。
山の手緋色舘の西野です。

桜が散る頃になると衣替えも本格的になりますね。
そこで気になるのが、収納と収納から出したアイテムなどなど・・・
果たして今年も例年どおり同じように使えるものなのか?仕舞うものは来シーズンも大丈夫?なのか。
そのあたりもチェックしておきたいですよね。

ということで本日は春~夏に起こりがちな故障などなどの修理をご紹介します!

湿度の高い季節の修理

まずはソールはがれ。
ビルケンシュトックです。底を縫ってある靴ではないので、使ってるとこういうことになる場合があります。
ソール分解の理由のひとつが日本の高い湿度です。接着層が加水分解するとよいソール材でも
使用不能になるので困った事態です。

湿度の高い季節の修理

ドイツ系のコンフォート・シューズはアッパーを屈強に作ってあるものが多く、長く履けるので
しっかりとメンテナンスしておけば安心ですね。
ついでにヒール部分の磨耗も補ってあります。

湿度の高い季節の修理

コールハーン+ナイキエア時代のブーツ。
ヒール全体がエア・クッションでウレタン素材を組み入れてあるタイプです。
これも湿度が高い日本では経年劣化が進むのが早いのかもしれません。
合成ゴムよりもウレタン素材はメリットも大きいのですが、この劣化で崩れ落ちるように
崩壊するのがまた困りものですね。

湿度の高い季節の修理

ウレタン素材から革を積んだヒールに交換しての修理。
履き心地は少し硬くなりますが、これでしっかりとした形になりましたね。

湿度の高い季節の修理

ハーレダビットソンの短靴。以前他のソール剥がれを修理させて頂いたお客様の靴です。
やはりソール分解ですが、これもアメリカより帰国して日本で履いているとベロっと剥がれたというお話し
でした。
この手の話はよく耳にしますね。イタリア在住だった方が帰国して靴も全部持ち帰ったらセメンテッド・シューズ
は全部ダメになったし、なんか臭いも気になるようになったとか。

湿度の高い季節の修理

元のソールがかなりヘビーだったので、そのまま接着しても長くは持たないだろう
ということで、ミッドソールを縫いつけてソールをvibram #4014に交換しました。
ちょっとレッドウィング風になってしまいましたが、バイクに使わないならこのウェッジソール
のほうが断然歩きやすいですね。

湿度の高い季節の修理

ちなみにクラークスのデザートトレックにvibram #4014をつけたらこんな感じ。
こちらのお客様も頻繁にヨーロッパに行かれているそうで、英国でクラークス安くファクトリー買い(笑)
みたいなお話をお聞きしました。
これから梅雨も来ますから、雨の日用としてもクレープソールからEVA素材のソール交換もいいですね!

湿度の高い季節の修理

さて、収納で完全に季節はずれになる前に・・・
ソレルのいわゆるムートンブーツ。
これは修理後の画像ですが、中の腰裏部分が裂けてきたとのことでした。
糸を解いてインナーのムートンを引っ張り出してみると・・・

湿度の高い季節の修理

ムートンと保温素材のシンサレートの継ぎ目が裂けてますね。

湿度の高い季節の修理

裂け目をいったんスエード素材(革)で覆ってからムートン部分と接合します。
筒の中なのでクロスステッチ(いわゆるバッテン縫い)を手縫いで合わせていきます。
あとはブーツの縫い目をもとに戻して出来上がり。

湿度の高い季節の修理

ムートン系に限りませんが、ブーツの収納時にはあると便利な抗菌、除菌ミスト二種

左:M.モブレイ モールドクリーナー
右:シューナチュラル・フレッシュナー

収納箱にもスプレーしておくとカビ対策としては万全。高温、多湿、養分(汚れ)の三つがそろうと
カビ発生の温床となりますので、注意が必要です。湿度の低そうな日に陰干しで風を通しておくのも
いいですね。今年は湿気に対してちょっと『意識高い系』になってみましょう(笑)

湿度の高い季節の修理

それではここからカバンの修理。本日は日本の湿気と深い関係のある内装(内袋)交換について。

まずはグッチのバンブーですね。
作業中はずっと作業台のそばにこのお鞄を置いておくことになるのですが、
「おっ、グッチやん!」「かわいい! バンブー」と来店の女性にやたら大人気!
竹を使った持ち手は人目でそれとわかるインパクトがありますね。

外観上からはまったくわからないのですが・・・
内側は内装の合成皮革素材が湿度と経年で溶けたようになり、ドロドロとした状態になっておりました。
使っている時間よりも収納している期間のほうが長いBAGはこのようなことになりがちです。
箱に収まっていると空気のとおりが遮断された状態になっているので、淀んだ空気の湿気を内装素材が
どんどん吸い込んで溶けていきます。

もっとも経年劣化もあるので、まめに空気を通していてもいずれは悪くはなるのですが・・・。
それにしてもこれでは使えないので全面張替えです。

湿度の高い季節の修理

今回はドロドロが侵食して内ポケット~ファスナーまで金具以外は全て取り替え。
内装の素材は溶けない帆布素材を使います。

湿度の高い季節の修理

これで出来上がり。
発色のいいマスタードのプレミアム帆布素材はいいですね。
すっきりいたしました。

湿度の高い季節の修理

さて、上に書いたように使っている時間より収納されている期間が長い鞄といえば・・・
このような黒いやつ。冠婚葬祭御用達のものとかですね。

湿度の高い季節の修理
湿度の高い季節の修理

こうしていったんパーツをばらして張替え完了!
帆布と革素材を組み合わせて作りました。

湿度の高い季節の修理
湿度の高い季節の修理

これはヴィトンですね。合成皮革素材の部分だけこのような感じで溶けていきます。
鞄に合成素材を使う理由はいろいろあるんですが、やはり薄さと軽さ、ナイロンでは高級感も
出にくいので・・・というところでしょうか。
当店では劣化しないよう布地か革を使い分けて張替え修理します。
袋物の場合はだいたい布地ですね。本革で作るとコストもかかりますし、重くなります。

湿度の高い季節の修理

真っ赤なヴィトン仕上がり。
ベトベトの劣化素材がまともな部分も汚染するので、清掃しても取れない部分にも革を張ってあります。

湿度の高い季節の修理

ハンティングワールドをほぼ全パーツばらした状態。
構成をメモしておかないとなにがなんだかわからなくなります。(笑)
ハンティングの内張りはバリスティック・ナイロンのようなものなので、劣化しませんが
今回は張り合わせの接着剤が劣化し、粉状(液状化)になって浮いてくるという形で、これも湿度の影響
が多分にあります。
ということで・・・

湿度の高い季節の修理

ファスナーやら内張りやらポケットの中まで全交換。
これを組み立てていくのが一苦労です。

湿度の高い季節の修理

これで完成です!

もう3月からこっち内装交換を何点修理しているか覚えておりませんが、
今お預かりのお客様はもう少し辛抱してください。お待たせしてすみません。
さあ、、湿度の高い季節はまだまだこれから。
収納したままになっているBagは暑い夏が来る前に一度チェックをしてみてくださいね!
置きっぱなしになっているとじわじわ湿気にやられているかもしれません。

では本日の緋色舘の記事は以上!

日本の湿気に対抗する(笑)修理でした!

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