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クラークスのクレープ・ソール交換(その2)

クラークスのクレープソール交換

あけましておめでとうございます。

西野です。
本年も当店および当ブログをよろしくお願いいたします。

年越し寒波で年末年始は寒さが厳しかったですね。
ここぞとばかりに私は寝正月を決め込んでおりました(笑)

クラークスのクレープソール交換

さて、本日はクラークスのクレープソール交換のPart.2

ソール交換だけでなく、傷みやすいかかとの履き口(腰裏)の
パーツ交換についてもご紹介します。

クラークスのクレープソール交換

クラークス・オリジナルの茶デザート
修理前の状態。

腰裏部分のライニングが破れてしまってますね。
オールソールのついでにこの部分も交換します。

クラークスのクレープソール交換 クラークスのクレープソール交換

クレープソール交換+腰裏ライニング修理

レアモデルのクラークス・ソール交換

次はちょっと珍しいレアモデルのクラークス・ソール交換

クラークスのクレープソール交換 クラークスのクレープソール交換

修理前の状態。
ちょっと手に取った瞬間おおっ!と驚きましたね。

オーナーさんいわく、
『こういうトゥの形のデザートはもう売ってないし、どこも修理してくれない』
わざわざ当店を探しておいでいただきました。
ありがたいことです。

で、トゥは尖った形ですがさらに先端のコバを切り詰めてあって、
これではたぶん機械縫いはできないだろうな・・・と思いながら、
ミッドソールをチェックするとこれまた通常のクラークスより厚めの
ミッドショルダーが使ってあります。

しかもヒール部分にもベースのクレープソールにサンドイッチ
される形で本革を使い、底縫いがかかっています。

ソールを縫ってある糸はすでに緩んでいたので、底縫いしなければ直らない。
さて、どうするか・・・

やはり手縫いしかないですね。(笑)

ではその辺の工程を少しご紹介。

クラークスのクレープソール交換

まず生ゴム部分を全て取り去って、ミッドソールを靴に付け直します。
その上から3ミリ厚のクレープを貼って縫い線をひと目づつ拾っていきます。

クラークスのクレープソール交換

こういう感じでコバの縫い目の元穴を探りながら菱形のきりで
グッと突いていきます。
この作業が最も神経を使いますね。
うまく元穴が拾えないととんでもない方向から
キリが突き出て支えている左手の指を突きます。

怪我するぐらいはまだいいのですが、元穴どおりに新しい糸が
通らないとサイズ感や最終的な形成に不都合が生まれてしまうんです。
なので正確にひとつひとつ元穴を貫いていきます。

クラークスのクレープソール交換

やっとミッドソールの縫い線を整えた形。
このあと機械縫いできたら楽なんですけどね。

クラークスのクレープソール交換

ハンド・ステッチ真っ最中・・・

クラークスのクレープソール交換

ミッドソール縫い上がり。そしてヒールベースは
クレープ3mm+本革4mm+クレープ3mmという10mmの構成で360度縫ってあります。

この部分のみ機械縫い。
底縫い師さんに無理をたのんでこちらもひと目ひと目ミシンを
動かす形でなんとか縫っていただけました。
縫い上げたミッドソールに今回は6mmのアウトソールを
着けてそのあとこのヒールブロックを乗せます。

クラークスのクレープソール交換 クラークスのクレープソール交換

最終的な出来上がりはこんな感じ。

ミッドソールが厚めなのでアウトソールは6mmとやや薄め。
ヒール部分にも本革が挟み込まれていますので、
やや通常のクラークスより履き心地硬めかもしれません。
ドレスシューズに近くなるような。

トップリフト部分の一番磨耗の激しい部分には、
あえて3mmの合成クレープをはめ込んであります。
ここが生クレープだと、この構造ではすぐに減ってしまいそうですからね。

ミッドソールとヒールの革部分のデザインが、横から見ると
まっすぐ並行になっていないとおかしいので、
事前にヒールブロックを製作するときにそうみえるように
クレープに傾斜をつけてあります。

クラークスのクレープソール交換

ちなみにこちらは定番のソール交換のヒトコマ

アウトソールを付けたあとに、同素材でヒールを置くベースを作ります。
このあと9mm程度のトップリフトがつく感じになります。

クレープソールを使ったクラークス、クラークス・オリジナルの靴は
一見単純なようでいて、シンプルな作りのなかにごまかしの
効かない奥深さがあるような気がします。

今年は何足修理することになるやら、まあ楽しみではあります。

では、今年もよろしくお願いいたします。

以上、クラークスのクレープソール交換Part.2でした!

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