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5.172019
ハーフソールとヴィンテージスティールの意味(part.1)
こんにちは!
緋色舘の西野です。
いろいろありまして久しぶりの更新になってしまいました。m(_ _)mスマン
季節も初夏となりましたが、最近は「春」と認識できる期間が短いですね。
GWを超えると一気に夏的な感じがします。
ということで本日は衣替えの季節に増えるハーフソール修理などなど・・・
この時期靴を新調される方も多いので、そうした需要も増えるということになります。
ハーフソールをつける意味
お客様からの質問のなかで昔から多いのが
「靴底のハーフソールはいつ張ったらいいの?」
答えは「お好みにあわせていつでも^^;」
っと・・・ミモフタもないですが、
正確に言えば
1)ソールの保護を第一に考えるなら おろす前の新品状態に張る。
2)紳士靴などの(特にグッドイヤーなどのウエルテッド・シューズ)はある程度履いてソールに返りがついて(足に馴染んで)から
のほうが違和感がない。
こういうふうに考えられますが、レザーソールの場合、いざ履いたら結構路面でスベるということがおきます。
滑るのを我慢して履いているとやはり怖いというか、足が無意識に緊張した状態におかれますので、
1)の新品時がオススメです。
一方レザーソールでの歩行に馴れている。せっかくのレザーソールなんだから、なるべくラバーを張りたくないという
方は、ある程度のダメージが目に見えてからソールの「保護」ではなく「補強」の意味で使われたら良いでしょう。
なので、オーナー様の考え方により、その使用は様々。
ちょっとこのあたりの話を絡めながら今日は進んでいきます。
早くも夏物サンダルということで、シャネルです。
vibram Exp’ソール
緋色舘ではド定番のソールです。
これだけコバの張り出しも強い感じのものだと、そのまま履いても強さはあります。
なので歩行の助けになるタイプのこのソールが用途として合っております。
ディオールの白パンプスです。
完全な夏物ですが、使用したソールはvibram ガンマソールの黒です。
画像を良く見てもらえばわかりますが、ピンヒールのリフトの色も黒、ソールエッジ(コバ)の色も黒
これに合わせてコントラスト的には黒が妥当な選択です。いわゆるモノトーンの雰囲気を壊してはいけません。
そしてこの手のハイブランドのパンプスはほぼレザーソールは極薄になっているのが当たり前です。
それにあわせての、最も薄いガンマソールのチョイスです。
ペリーコの色違いの夏物とrepettoのバレーシューズ
全てvibram ガンマソールです。色は春夏物に合わせた明るいベージュです。
ここ数年のトレンドとして、今年もまだポインテッド・トゥ(尖がったつま先)ですね。
割とラウンド型が定番であるはずのrepettoですらけっこう尖っています。
先端が尖っているということは、そのぶんつま先にテンションが乗りますので、
ヘタをすると2~3回程度の使用でつま先が磨耗していく場合があります。(使用環境により違う)
さらにソールが薄いということは、それだけ本体が地面に近いということです。
レザーソールは「呼吸する」とも言われて、通気性があり履き心地がさわやかですが
反面「毛細管現象」のようなことが起こり、地面にあるヨゴレの元になるようなものを靴本体へ吸い上げて
しまう場合もあります。
これはrepettoのつま先
ある程度使用感のあったものなので、ハーフソールを張る前に傷んだつま先を全てレザーで作り直してあります。
しっかりとさせる為、repettoには定番の屈曲の良い、薄いガンマソールではなく、
あえてvibram Exp’ソール(ベージュ)を使用しています。
赤いのはファビオ・ルスコーニ
個性的なタビ型のつま先はメゾンマルジェラです。
このファビオは非常に薄い造りのソールになっていますが、何度か使用していてもつま先にそれほどのダメージはありませんでした。
これはほぼラウンドに近い形のトゥであるため、ポインテッドより気楽に履けるものになっていると思います。
ですがこのブランドお得意のコバをほとんど見せないように張り出しのないエレガントな仕様ですので、
早めに張っておくと安心でしょう。
まとめると
つま先が尖ったデザインのものは磨耗が早いので注意が必要
ラウンドやスクエアなどの形はゆっくりでもいいということです。
マダムに人気のインターショシュールです。
足に優しいスクエアトゥですね。
全体的に明るい色目ですので当然軽い雰囲気で修理したいところです。
「ヒールのリフトもカンカン鳴らないもので」
ということでゴム系vibramリフトに交換。
このように明るい色で汚れやすいものも足元の安定感を出すことで本体(と足)を守るという意味があります。
左から カルミナ、ヤンコ、アレンエドモンズです。
全てvibram ハーフソールを張りました。
画像では見えませんがアレンのみシモンソール、他はExp’ソールです。
ビジネス使用前提でTPOにあわせて靴を揃え、長く履けるよう維持していくのにもハーフソールは有効だと思います。
いくらソーラー電池などが開発されても、スイス製高級時計が機械式かクオーツ仕様なのにはちゃんと意味があります。
クラシックとしてそれがひとつの完成形だからです。これは今後もおいそれとは変わらないと思います。
靴も同じようにレザーソールがひとつの完成形で、フォーマルの世界では欠かせないものです。
昨今では「ビジカジ」なんて言葉もありますが、やはり良い物をちゃんと選んでコスパ良く(長く)使うことを知っている方は
素敵ですね。
スーツはクラシック、でも足元はカジュアルというわけにはやっぱり出来ませんよね。
クロケット&ジョーンズ vibram シモンソール
サントスの紺 ヴィンテージスティール
サントス ローファー vibram Exp’ソール
こちらも靴を大切に、そして楽しんで履いてらっしゃるオーナー様の三足。
「これはそろそろソールが傷んできたし、ハーフソールかな」
「こっちはまだレザーソールのまま行きたいからスティールで」
という感じでご相談頂くのも、こちらからもいろいろご提案もし、チョイスに話も弾みます。
傷んだレザーソール。カルミナです。
なにも履き方が悪いわけじゃありません。
さて、傷んでしまったソールにハーフラバーを張るタイミングですが、
ソールに穴が開いてしまう前が理想的ですが、最悪でも底縫い糸が切れてしまう前に注意しておいてください。
このような場合、ハーフソールを装着する前の段階で磨耗した部分にレザーをアタッチしてならしてから作業を行います。
ダメージを無視してスピード修理でラバーをただ貼っただけという修理もよく見ます。
これははっきり言ってお金のムダに終わりますので、「すぐに出来ます、お待たせしません!」
みたいな文句を信じるとほぼやり直しをしないといけなくなって、ロクな目に会いません。
グッドイヤーウエルトの場合、底縫い糸に大きなダメージが無ければ、一定の性能をハーフソール修理でも取り戻すことが出来ます。
靴の修理はオールソール交換だけじゃないです。
オールデン プランテーションソールにヴィンテージスティールをつけるところ
上記の靴のafter画像です。
底縫い糸が浅く走っているものの場合、なるべく縫い糸を切ったりしないようお客様とのご相談の上
取り付けの相談をいたします。
つま先(というかウエルト)を保護するためのスティールですが、底縫い糸をカットしてしまうと
靴の構成を壊してしまうので、いったい何のための補強なのかわからなくなります。
かといってあまりに浅すぎる位置でのスティールの装着はそれ自体にデメリットがあります。
悩ましいところです・・・。
さて、次回もハーフソールとヴィンテージスティールの意味(part.2)として、
今度はつま先スティールについてのご紹介を中心にまだまだ行いたいと思います。
長くなりましたが(ブランクも長かったですが^^;)
本日は以上。
ハーフソールとヴィンテージスティールの意味についての記事part.1でした!